佐山雅弘質問箱 - ジャズ 総合情報 アットジャズ @jazz

佐山雅弘質問箱 アットジャズ

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烏舟
リズムについて
投稿日時:2015/06/08 14:09
質問させて頂きます。

佐山さんも、アマチュアと演奏する機会がおありかと思います。
で、やはりプロと違い、リズムがおかしかったりすることもあるとは思いますが、その場合無視して自分のリズムで演奏されますか?もしくはある程度合わせてあげますか?

うちのドラム曰く、アマチュアはほとんどの人が死ぬほど突っ込むので、一人でキープするとズレが半端ない。
が、そっちに合わすと、際限なく走って行くとのことでした。

以上、宜しくお願い致します。
佐山雅弘
Re:リズムについて
投稿日時:2015/06/11 22:20
 日本人は基本的に前のめりに進む傾向があるのです。そのこと自体にはコンプレックスを持つ必要はないと思う。
 と言いながら、ぼくもその劣等感の虜だったのですが・・・。
 質問者の担当楽器が不明なので何とも言えませんが、ベース・ドラムなど、ずっとリズムを出していなくてはならない楽器の人は大変です。キープ力(りょく)を身につけないと成立しませんからね。
 ぼくの専門、ピアノで言えばコツ的なものはあります。
 リズムセクションを味わいながら弾けているときはまぁまぁ大丈夫。乗って来て、周りの音が少し遠のいて自分の世界に入っちゃうともう、走り出している。アタマのどっかでわかっちゃ居るんだけど、指の方が止まらない。
 そういう時は気の済むまで弾ききって間を取る(休符を長く設定する)。するとドラムが必ずフィルを入れて修正してくれて、なおかつカッコいいことをやって次の段落を決めてくれる。それを受け取るかたちでちょっと印象的なフレーズから入ると・・・。ドラムのカッコいいフレーズの手柄が「素晴らしいピアノソロだ」とこちらで横取りしてしまえる(笑)。
 要点としては休符をうまく利用して走りグセを音楽の進行に吸収させてしまう、というワケ。
 本当はピアノもギターもリズムセクションだし、フロントといえどもジャズはリズムコンシャスな(リズムありき、リズムに寄り添って成立している)音楽だから(ジャズとは言わずポップス全般がそうですね)自分がエンジンにならなくてはいけない。
 優秀なリズムセクションというエンジンに乗っかる運転手あるいは乗客ではなくて、クインテットなら5人つまり5つの、クァルテットなら4人、4つのエンジン(5気筒、4気筒)が始まってしばらくすると連動して強力なグルーブになっていく。
 というのが理想ですが、日本人で自らエンジンになれてる人というのはぼくの見る所極端に少ないです。
 ジャズで言えば日本ジャズ史上10人はいない。ところがアメリカ人ミュージシャンはそこそこ出来の悪い人材でもそのエンジンだけは備わっている、ように思える。
 この欠点があるからこそ、分析力と対応能力が促されオリジナリティにたどり着いた先人が数多く生まれた。アメリカでは生まれ得ない独自な、しかもジャズの持つ包容力故にそれもジャズになり、歴史に参加してゆく、という肯定的な面も多いと思います。
 長所は長所のままですが、欠点は飛躍的な長所に結びつきます。希望と夢を持って日々のセッションを楽しみましょう。
 なんといっても音を出すこと自体が嬉しく楽しい作業ですものね。
 
烏舟
Re:Re:リズムについて
投稿日時:2015/06/12 19:40
ご回答、ありがとうございました。

ピアノの方がどういう風に弾かれているのか、大変興味深かったです。
ベースの場合、走って行ってどこかで辻褄を合わせる、という風には行かないかもしれませんが(笑)。

私もNYに半年ばかり住んでいて、ライブにはかなり通いました。
日本のジャズプレイヤーは、ただ「ジャズ」をやっているという感じの人が多いんですが(上手なので「感心」はします)、NYのプレイヤーは、とにかく斬新で新鮮な自分の世界を表現しようとして演奏している感じでした。
ドラムですら、リズムを刻むのではなく、世界をクリエイトしているような印象です。
しかも、10~15ドルくらいで観れるという(笑)。

akikosama
ジャズスケールについて
投稿日時:2015/04/09 09:52
以前@ジャズのインタビュー記事の中で
(サイトに下記されている特集記事)練習云々の件から
ピアニストのタイプ?についてご自身のことをドレミファ
スケール2種類あれば何でも弾けると思っている作曲家的な人、とおっしゃっておられますが、2種類って何ですか?
気になります。昔ちょっとジャズをかじって理論書を
読解力の無さで挫折したので、ざっくりとでもいいので
かみ砕いて教えていただけたらうれしいです。
佐山雅弘
Re:ジャズスケールについて
投稿日時:2015/04/12 23:18
 メジャースケール(ドレミファソラシド)とメロディックマイナー、いやハーモニッックマイナーだったらな?ドレbミファソラシド。の二つです。正確にはこの二種類を12個のキーだから24パターンありますね。
 メジャースケールをドから始めるとCイオニアン、レ→Dドリアン、ミ→Eフリジアン、ファ→Fリディアン、ソ→Gミクソリディアン、ラ→Aエオリアン、シ→Bロクリアン。
 モード7つ分の指順が賄えますね。
 マイナーの方はファから始めるとFリディアンセブンス、G→所謂HMP5B,ハーモニックマイナーパーフェクトフィフスビロウ、シ→Bオルタード。
 セブンスコードの使用可能音階(available note scale)5つ(ミクソリディアン、リディアンセブンス、HMP5B、オルタード、コンビネイションドディミニッシュ)のうち3つがまかなえる。メジャースケールの方でミクソリディアンは出ているので、残るはコンディミです。
 ここでウソがばれます(笑)コンディミは二種類で賄える全てのスケールの外にある。ただディミニッシュスケールは3種類に収斂されるので其のための時間を取れば良いでしょう。
 ①何故3種類か②単純ディミニッシュスケールと7thコードから導き出されるコンディミスケールはなぜ違うのか。についてはしっかり理解しないといけない所である・・・とともに非常に面白い項目なのですがいまは割愛。というか簡単な文章にする能力に僕が欠けています。スケールのこともそうだけど、ピアノを弾いて口で説明すればあっというまにわかることですから、くれぐれもジャズを嫌いにならないで下さいね。
 さあ、ドレミファソラシドを12のキーで、ドレbミファソラシドを12のキーで演奏してみて下さい。そして五線紙に書き出して、ここから始めると何々スケール、みたく注釈を入れる。一般の教科書でいちいち並んでいるより複合的ながらすっきりした演奏家向きのスケールメソッドの出来上がりです。
akikosama
Re:Re:ジャズスケールについて
投稿日時:2015/04/13 08:37
,,あの、質問の仕方が悪かったのでしょうか?
かれこれジャズの理論書から離れて10年以上、、
いまさらどうこうということもないのですが
せっかくの機会なので冥土の土産に、、と
質問させていただいただけです。
他意はありません<m(__)m>

たまたまオフィシャルサイトの特集記事を見たので
、、かなり前のインタビュー記事だったので御記憶に
ないとか?3種類、て、2種類、、GのHmp5て、、
推して知るべし、、みたいな?
触れてはいけないトコだったのでしょうか。
佐山さんのおかげで又ジャズピアノに興味をもてたようなものですが、すみません、よくわかりません。

kurikuri
日経新聞連載について
投稿日時:2015/03/19 15:56
私はアルトサックスを趣味で演奏している者です。3月12日の日経新聞の「ジャズのスタイル史2」を大変興味深く読みました。パーカーがⅡ-Ⅴというスタイルを編み出し(ⅤをⅡとⅤに分解)、モダンジャズが生まれたというところは驚きを持って読みました。これまでにこういう指摘を読んだことはなかったし、それほど深い考えもなしにⅡ-Ⅴを演奏しておりました。そこで質問ですが、記事の中に「アルトサックスのような単旋律楽器でも、和声進行をメロディーラインで美しく表現できるようになった」というくだりがあります。ここは最も重要な箇所を思いますが、なんとなく分かりそうでちょっと理解が難しい文章です。なんとか、かみくだいて解説していただけませんでしょうか。お願いします。
佐山雅弘
Re:日経新聞連載について
投稿日時:2015/03/24 11:55
  キーをCに設定しましょう。わかり易いから。
 Dm7>G7>CMaj の進行で、“ファミレド|シラソファ|ミ”と奏でる。ファミレドシまで下降してラで上に跳躍して再びラソファミと下降する。この時点でウラ拍での跳躍(自動的にアクセントも伴う)というジャズ特有のシンコペーションが出ているのも重要だが、今は和声的な話。ファミレドがDm7の部分。シラソファがG7。CMajに落ち着くのがミの音。
このフレーズには二つの重要なポイントがある。
 その① バーをまたぐ時に和音進行が著されている。
 Dm7の7th“ド”がG7の3rd“シ”に移るのが丁度コードの変わる小節線をまたぐことでDm7>G7を感じる。
 G7の7th“ファ”を、小節線をまたいでコードがCMajに変わる所で3rd“ミ”へつなぐ。このことことによってG7>CMajの動きを表す。
 3度7度はコードの性格を表す最も重要な音(1度はルートだし、5度はマイナー・メジャー・セブンス、どれでも同じ音だから敢て入れなくても良い)だから小節の進行に応じたコード変化(これをハーモニックリズムという。重要なタームなので覚えておくと良いでしょう)の時にそれらを使うことで、単音でも和声進行を表すことができるのです。バッハの次はパーカーだったかも知れないくらいの大偉業なのです。
 その② 強拍に和声音が配置されている
 強拍とは4拍子の1と3だが、ここでは八分音符八つのうちの奇数番目、つまり1・2・3・4の表拍にDm7ではファとレ、G7ではシとソ(それぞれ3度とルート)CMajでの解決でミ(マイナーではなくメジャーですよ、と知らせる最も重要で効果的な長3度)が配されている。
 人間の耳は強拍を以て和声を判断する特性がある。例えば・・・
 G7>CMajで“ソファミレドシラソ(下降)|>ド”とすると各拍のアタマに“ソミドラ”がくる。これはC6またはAmの分散。スケールとしてはG7なのになんだか収まりが悪い。

 余談:ベートーベンには意外とこれが多くてこの場合は四六の和音と云ってドミナント音の上にトニックを乗せる王道のドミナント進行でもあるのだがジャズではこれをほぼ使わなくしてⅡm7>Ⅴ7を前面に押し出す。ニューオリンズ期、スイング期にはこの四六のドミナント和音が結構使われている。こんな所にもジャズスタイルの独自の発展がある。余談終わり

 ソとファの間に半音進行を入れて“ソbソファミレドシラ|ソ”とすると、拍のアタマが“ソファレシ”、と綺麗にG7の構成音が全て入る。奏でてみると実に収まりが良い。ただしこの時点で各自の好みは出るもので、こんなに収まりが良くて気持ち悪い、という感覚の持ち主もいるだろう。

 という訳でまずは“ファミレド|シラソファ|ミ”を全てのⅡm7>Ⅴ7(12種類)で、できるようになることが“伊呂波のイ”なのです。
 あ、その前に、4度進行の基本“ファシミラレソドファ”をスラスラ言えるようにしておくこと。正しくは“#ファシミラレソドファ”だけれども、シャープやフラットは実演の時に付ければ良いので、呪文のようにお題目のように“ファシミラレソドファ” “シミラレソドファシ” “ミラレソドファシミ” “ラレソドファシミラ” “レソドファシミラレ” “ソドファシミラレソ” “ファドファシミラレソド”(7種類)が言えるように。

この続編としてEm7>A7(b9)>Dm7>G7>CMajで“ソファミレ|#ドbシラソ|ファミレド|シラソファ|ミ”というのがある。ノンダイアトニックコードとセカンダリードミナント。ジャズ理論の花形とも言うべき二つの項目についての理解に最適なフレーズ見本がある。またいずれ。

 それにしても、ピアノを弾きながらの解説ができればあっという間に腑に落ちる話のはず。いつか機会があれば良いですね。

 いい質問をありがとう。日経に今連載していることもそうですが、知っていることを改めて纏めてみることで、雑然とした部屋を綺麗に片付けたような気持ちよさが残ります。
kurikuri
Re:Re:日経新聞連載について
投稿日時:2015/03/24 13:47
お返事ありがとうございました。「単音で和声進行」の意味がよくわかりました。
「音楽史を変えた五つの発明」(H・グッドール著、白水社)という本があり、「記譜法」「平均律」「オペラ」「ピアノ」「録音技術」の発明が音楽史を変えたという話ですが、6番目としてパーカーのⅡ―Ⅴを入れなければならないと思いました。
Ⅱ―Ⅴのフレーズはいくつか12調で演奏する訓練はしておりますが、先生のフレーズもさっそく練習に取り入れてみたいと思います。また、続編のⅢ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴ-Ⅰにも取り組むつもりです。まだまだジャズの道のりは遥か彼方に続いている、というのが実感です。

烏舟
Humpty Dumpty
投稿日時:2015/03/10 18:19
ジャズ勉強中のベーシストです。
質問させて頂きます。

チック・コリアの「Humpty Dumpty」なのですが、一応モードまでは勉強したのですが、どういう理論で曲が成立しているのか、全く解りません。皆目検討もつきません。

チック・コリアのプレイを聴くと明確な方法論で弾いているのはわかるのですが、自分で弾こうとすると…。

佐山さんであれば、どのように演奏されるのでしょうか。
宜しくお願い致します。
佐山雅弘
Re:Humpty Dumpty
投稿日時:2015/03/13 00:02
 書いててとても面白かったけれど、極めて個人的な方法論なので参考にはなりにくいでしょう。読み辛いエッセイ、くらいの気持ちでお付き合い下さい。
 イントロ>理論的解説>佐山的具体策>一般論。というふうになります。ややこしくなったら飛ばしながら読んで下さい。

イントロ
 僕は絶対音感がなくて、トニックが”ド”なたは”ラ”に聞こえる、いわゆる”移動ド”なんです。だからビバップのように調性のはっきりしているものは良いけれど、モードものは聞こえたように解釈して演奏するのです。ソーホワットなら”レラシドレミドレ”のときと”ラレミ#ファソラ#ファソ”を使い分ける。固定的な”レ”がフロントの吹き方によって”レ”に聞こえたり”ラ”(移動ド的なトニック)に思えたり。それによってその時々の調性を感じてバッキングする。その面白さはあるけれど、やはりモード以後のスタイルになると”固定ド”の音感の方が有利な気はしますね。ただ僕が固定ドで演奏すると全てのコードがハ長調のなかの機能に聞こえるので結構ハチャメチャになる。それを面白がって演奏することもあるのだけれど。

理論的解説
 さて、Humpty Dumpty。これはモーダルコードの傑作。”Forest Flower”と共に、メジャー連続をモード的転調に扱った代表作でしょう。
 冒頭、Ebメジャー>Dメジャーは”半音下がる”と云うこと意外に物理的必然はありません。強いて言えば和音は4度上行または5度下行し、その代理コードを考えると半音下にスムーズに流れる。ということはあるが、それにしてもトライトーンを含んだ物理的不協和音をともなっての話で、メジャーコードの単純下行は転調でしかないでしょう。ただこの半音進行が次のGb>Fに繋がることで、後付けのドラマが生まれる。
 その次にはA7>Bbと半音進行の反行が続くことでより構築性が強まる。この時はドミナントセブンにしてコーダルな匂いを出す。
 BbメジャーからBbマイナーという同主短調への転調したところでドリアンモードが4小節。この、ある程度長い間のワンモード、というのがモード感をイヤが上でも盛り立てますね。
 続くDm>Bm>Abm>Fm は短3度の下行。先述したもう一つの傑作”Forest Flower”ではラスト部分で同じようにマイナーの短3度進行が上行で使われてます。ディミニッシュ動きで調性が希薄になった所で、たどり着いたFmをⅡmにピボット(軸・二役)にしてBb7に行くのだが、すぐには行かないで、Ebのキーでの「Ⅱm>Ⅳm>Ⅱm>Ⅴ7」という回り道で冒頭のEbに戻る。戻ったEbはキーのトニックに聞こえるけれど次のDメジャーによって、すぐさまモードとしてのフリジアン(またはイオニアン)に変換されてしまう。

佐山的具体策
 この曲、このメロディが僕にはどう聞こえるかと云うと、bミレbミレ#ドラ(固定)がドシドシシ#ファ(移動)に聞こえるのでここはEbキーだと設定。
 次のラ#ファラミ#ドラファはソミソミドラファに聞こえるのでC#キーの4度とCキーの4度。この時のコードA7とBbメジャーは,Cのキーの中のノンダイアトニック。
 次のBbmはもう固定殿ドリアンでbミbレbミbレドファbレドファbレドとなります。先ほど触れた「固定ドはハ長調のノンダイアトニックになる」法則。
 そのモードの中でbシbレbミファソbラファとくると調性感はそのままCでソファミソドレミ#ドミラシ#ド#ラbソbミbラ&#12316;と続いた最後のbラ&#12316;ソ&#12316;と読み替えてEbキーに設定してレソファレドファシソ&#12316;とめでたくEbフレーズになる。
 この調性感の読み方でハーモニックリズムに沿ってフレーズを次々に聞き取る訳ですね。
 そうそう、アドリブは作り出すのじゃなくて自分のなかのハーモニックリズムに耳を澄ませて聞こえてくる音を聞き取ってはたたき出す作業なのです。少なくとも僕にとっては。
 だから(話は飛ぶけれど)クラシックものを演奏する(書かれた譜面通りに弾く)時もコードを振って、和声進行を把握して、構成を俯瞰して、という作業を通じないと音楽になりませんね。これも僕の場合。

理論的一般論
 モードというのは煎じ詰めれば氏以降が無くて転調があるだけ。ソーホワットのサビは半音上の同じモード(Dドリアンに対してEbドリアン)だけど、そこには”半音上”ということ以外のドラマツルギー的(Dm>G7>Cのような)必然性はない。このサビがマイルストーンのようにEフリジアでも問題なく成立する訳。

 音楽教育的一般論(というより愚痴?) 
あるとき以後、文部省の通達で年少教育から”固定ド”で教えているので、僕はイマドキの人々について行けない部分が多々あります。がしかし、調整による音感の方が自然ではあるのだから、音楽家以外の人(ほとんどの人)の基本教養としては”移動ド”であるべきだ、と密かに思っているのです。音楽家であったとしても、絶対音感が遭ったとしても、調性に基づく相対音的な感覚が無い人にはちと困る。

PS
 質問への解答を考えることは自分を掘り下げることにもなり、とても有意義で楽しい作業です。文章表現がまずくて申し訳ない。お喋りと同じで、上手な人の話はわかり易いですよね。僕のは読み返していても「僕自身にしか読み解けないかも・・・」と思います。実は譜面もそうなんですよ。
 ここんところもっと詳しく、とか、もう少しわかり易く、等々大歓迎です。それに初歩的専門的問わず、音楽談義は大好きなのでどなたさまもご遠慮なく。待ってます。

烏舟
Re:Re:Humpty Dumpty
投稿日時:2015/03/14 20:49
回答、ありがとうございました!
解釈するのに時間がかかりますが、初めて取っ掛かりができました。
佐山さんの解を参考に、自分の解釈が見つかれば、と思います。

自分は5歳でピアノを初めての絶対音感なので、「ドレミの歌」が別のキーで歌えません(泣)。
恐らく絶対音感は、現代音楽くらいしか役に立たないかと。
シンガーであれば、アカペラで一発目から精度の高い音程が出来ますけど。

moutinl
フレーズについての質問です。
投稿日時:2015/02/04 14:03
15年ほど前から佐山さんの大ファンのベーシストです。

特に愛聴しているのが、
ソロアルバムでの”giant steps”と”パリのお嬢さん”、
先日急逝されたOLIGAさんのアルバム内での
三宅純さんアレンジの歌モノの演奏です。

それを踏まえての質問なのですが、
どの演奏でも”息の長い”フレーズを見受けます。
歌モノ的なコード進行でも、giant stepsでも、
細かい音符で歌っている上に音色も綺麗な形で。

自分でアドリブ演奏する際、
管楽器的に歌う様に心がけてはいるのですが、
細かく長いフレーズになると音色が荒れてきたり
終端を手癖に逃げたりするのが悩みです。

心掛け程度の事でも構わないので、
細かく長いフレーズを弾くコツや、
アドバイスが有れば教えていただければ嬉しいです。
佐山雅弘
Re:フレーズについての質問です。
投稿日時:2015/02/16 20:30
 面白い話題なので色々考えていたら長&#12316;い解答・・というよりは文章になってしまいました。すみません。適当に読み流して下さい。手を入れてブログにエッセイとして乗せるかもしれません。

以下会話風に。
giant steps は今まで唯一アドリブの練習をした曲なのです。
 僕の場合コピーはかなりしたのですが自分のアドリブは練習しない主義でした。アドリブなんだからね。練習したフレーズを共演者のプレイに関係なく弾くって変でしょう。基礎練習やクラシックものを弾いて思ったことを弾けるようにしておいて、現場では無心に。聞こえてくる音に耳を傾ける。それこそクラシックじゃないのだからハイテクニカルな演奏は基本的には不必要。聞こえた音や音列が自分のテクを超えていたら残念・・くらいに思っていればよいのです。よくしたもので“聴こえたら弾ける”モンです。
 ところがジャイアントステップはコード二個ごとに転調するのでどうしても頭がついていかない。僕は主音を“ド”と読みながらソルフェージュする“移動ド”奏法なので f# d h g b をソbミ(→ソ)ミ ド(→ミ)ソ と読む訓練をしてハーモニックリズムを身につけてから(2時間くらい)ゆっくりとフレーズをのせていく練習をしました。これに近いのがボビーハッチャーソンのリトルビーズポエムですね。この辺はピアノを弾きながら話すととても面白いので講座でもしたいところです。
 ”パリのお嬢さん”。ベースは米木康志。僕はず&#12316;っとこの人が一番好きです。機会があったら是非聞いてください。宇宙がある、永遠を感じる。嘘がない。誠実そのもの。いくら賞賛しても足りないけど、何か一言で言えるキーワードがありそうな・・・とにかく素敵なベースです。彼のラインから僕のフレーズが淀みなく生み出されていった実感を思い出しますね。
 アドリブソロの妙はコードにつれて変わっていくスケールノートの変化に対応しながら、きれいに歌になっているフレーズを作り出すところにあります。あまり意識しすぎるとゲーム性が高くなって妙味がなくなるのですが、基礎として身に付いていると良いでしょうね。八分音符を順に弾いて(ドレミファソラシドレミファソラシドレ・・・)コードが変わるたびにシャープフラットをつけていく練習は発想を訓練する上で有効かと思います。いや、わからないな。「こんなことも出来るな、面白いな」と思ったときには出来ていたから、基礎訓練じゃなくてある種の訓練の結果かもしれない。
 
 先日急逝されたOLIGAさん。
そうですか・・知りませんでした。ご冥福を・・・。今日は中黒(・)が多いなぁ。
 三宅純さんアレンジの歌モノ。曲は全く覚えてませんがスタジオでの風景や三宅君にオリガさんを紹介してもらった様子など鮮やかに思い出します。素敵な声だなぁと思った。僕は自分の好きなようにしか弾けない。いわゆる“スタジオワーク”的なご要望に応えるタイプの演奏は出来ないのですが、三宅君はそんな僕を好きなように弾かせておいてちゃんと自分の音楽に仕立て上げていく、という優秀な猛獣使いでした。他のミュージシャンにもそういう対応だったんじゃないかな。
 髪型がいつもバシッと決まっていてね。「銀座のホステスのように毎日床屋に行くの?」と訊いたことがある。
 代官山のご自宅、超豪華マンションでのパーティに一度呼ばれて、楽しかったなぁ。
 
歌モノ的なコード進行でも、giant stepsでも”息の長い”フレーズ。
 はキースジャレットの影響でしょうね。ピーターソン、ハンコック、チックと自分の流行を追いかけながらエバンス、ガーランド、ケリーをコピー・研究していく末にキースのフェイシングユーからスタンダーズに行き当たって衝撃を受け、二年間ぐらいキースジャレットになりきって演奏していました。他のピアニストと違ってすべてが歌、というか。アドリブラインではなく(チャールスロイド時代はアドリブラインの天才ですが開眼するところがあったのでしょう)作曲としてのメロディメイクなんですね。歌謡性が高い、というと誤解を招きそうですがとにかく歌っている。その方法と、ある種メカニカルな(バッピィと言ってもよい)ラインアドリブを織り交ぜてムードの高まりに上っていくのが僕のアドリブ法だったのですが、このところ(退院後)はあれこれ考えずとにかく歌う、という風になってきました。老境ですかね。
  細かい音符で歌っている上に音色も綺麗な形で。
 音色は重要だ、と気づいたのは実は40歳もすぎてからで10代の時から“とにかくでかい音、通る音”と考えながらやってました。アケタの店やピットインなど管楽器にかき消される状況での演奏が多かったもので。コルトレーンのバードランドライブでのマッコイを聞くと同じような状況が思い浮かんで、それでああいうスタイルになったなぁ、なんてにんまりします。
 音楽の要素は大雑把にみっつ(リズム・メロディ・ハーモニー)、少し広げて六つ(さっきの三つにプラス様式・対位法・音色)。その他音量とか、数え上げればきりがない。けれど、奏者と聴衆のインターフェイスは“音色”だと最近思う。“いいフレーズだな”“バッキングが絶妙だ”“きれいなボイシングを作るなぁ”等々分析的な項目はいっぱいあるけれど、“あ、イイ!”。すとんと体と心に音楽が入るときの言葉としての認識は“いい音だなぁ”でしょう?
 だから音楽の3要素、6要素をひっくるめた述語として「音色」という項目が1要素としての音色という言葉とは別にある気がするのです。ただ、その訓練法がわからない。
 最近上手なバイオリニストとの共演が多い。寺井尚子、真鍋裕、石田泰尚。みなさんに音色の訓練法を訊くのですが具体的なものはなさそうですね。どんな音を弾きたいかというイメージや、共演者の音に寄り添ってるうちに、とか。それだけ総合的なものかもしれません。
 音楽性と人間性をくっつけて語るのは好きじゃないけど、ひょっとしたらそういうこともあるでしょう。結びついている人もいる、っていうところかな。人間としてはどうかな、だらしなかったり細かいことにうるさかったり、気分の波が激しかったり。と思うんだが、音楽が素晴らしい、というプレイヤーはいっぱいいるもんね。むしろそっち(ダメ人間)のほうが多いかも知れない。ただ、今の時代はそういう人が生き残りにくくなっているので音楽状況の混沌とした面白さ素晴らしさは薄まってきている気がしますね。

 自分でアドリブ演奏する際、管楽器的に歌う様に心がけてはいるのです。
 管楽器の想定は楽しいですよね。このコーラスはアルトの音域で、息継ぎで。次は一旦テナーになってからトランペットに。最後は“ピアノでしかこの音域はできないよね&#12316;”なんてニマニマしながらやっている。

  細かく長いフレーズになると音色が荒れてきたり
 それはまぁ基礎力の問題でしょうからやがて解決するでしょう。

  終端を手癖に逃げたりするのが悩みです。 
 最後は手癖でダダダダダッ。というのは山下洋輔もそうですからさほど気にしたもんじゃぁないでしょう。
 時に拍手も出来ないような音楽的にスムースすぎるソロおわり、っていうのもカッコいいですね。曲によってソロラストだけは仕込んでおくのもテです。

  心掛け程度の事でも構わないので、細かく長いフレーズを弾くコツや、
アドバイスが有れば教えていただければ嬉しいです。

 心がけとしては“人の音を聞く”ですかね。ベース奏者としては提供する割合の方が多いでしょうからピアニストからはアドバイスしにくいですが。僕の経験則でいえば、人の音、歌とか歌詞とかベースラインとかレガートの具合やフィルの様子が認識出来ている間は自分が何を弾いても(間を空けても、詰めていっぱい弾いても、アブストラクトでも)音楽は成立してどこかへ僕たちを運んでくれます。
 ところが、そうこうしているうちに、気がつくと自分の音しか聞いてない状態になっていることがある。それも、割と多くある。一曲ごとにあったりする。そういう時はどうも駄目なようですね。
 戦国時代の合戦でいい気になってたら敵のど真ん中、みたいなシーンがありますがあんな感じかな、と思ってやはり笑ってしまうのですがね。あるいは植木等の“あら?およびでない?こりゃまた失礼しました&#12316;”なんてね。
 失敗もまた楽し。音楽、ことにジャズはそれも含めて露(アラワ)な芸能ですよね。だれも傷つけない。受け入れ合える。

 アドバイスというよりはエッセイ的になりましたが、楽しく私論・試論できました。ありがとう。
 追加質問があったら遠慮なくどうぞ。
moutinl
Re:Re:フレーズについての質問です。
投稿日時:2015/02/17 07:25
返信ありがとうございます。
読み流すどころか演奏に役立つ内容ばかりで
じっくり読みふけってしまいました。
抜粋し携帯に送り演奏前にも見れる様にしたので、
今後しっかり活かしていきたいと思います。

giant stepsで講座の話が出ていましたが、
是非、ノンジャンルで喋り倒して欲しいです。

米木さん、今後意識して聞いてみます。
個人的にエバンスのラストトリオに居た
Marc Johnson氏が好きなのですが
ピアニストにフレーズを生み出させる、
ピアニストに一本手が増えた様に感じさせられる、
そういったベース、本当に理想です。精進ですね。

http://youtu.be/31Lk3q0veX8
故ORIGAさんと共演されていたのはこの曲です。
ベースの渡辺等さん目当てで買ったCDでしたが、
こんなに”完璧”な歌モノのピアノは聞いた事が有りません。
15年聴き続けてますし、今後も一生聞き続けられる真の名演だと思っています。

追加質問が有れば、の言葉に甘えて一点だけ。
お手隙の際、興が乗った時にでも返信いただければ幸いです。

佐山さんは様々なベーシストと共演されていて
ピアノトリオ畑で考えた場合、
かなり稀有な経験をお持ちの方だと思っています。
ウッド、エレキなど各楽器の良さや欠点など、
佐山さん視点での意見、嗜好を聞きたいです。
ベースに”この辺くすぐられると気持良い”そんなポイントも
合わせて教えていただけたら嬉しいです。

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