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ジャズ ミュージシャン ( 寺井尚子 )

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インタビュー:by @jazz 山本聖子 2008年2月14日


全ては無の瞬間のために。
即興へと昇華される「音楽」を生きる
情熱のジャズヴァイオリニスト!


ジャズの一番の魅力は即興演奏にあると思うんです。ライブでもレコーディングでも。いつも、自分の内側から沸きあがってくるものを弾きたいと思っているんです。「無」の状態でいる時が、一番いい演奏が出来ているんですよね。でもこれは、作ろうとしてつくれるものではないの。そのためには、日常の全てが音楽に向かっているように心がけます。そうすれば、人との出会いも、お食事も、お掃除も、練習も。毎日の全てが「音楽」になる。こうしていつも、自分のアンテナの感度を最高の状態にしておきたいですね。

(寺井尚子)



<最新アルバム「小さな花〜アマポーラ」について>
小さな花〜アマポーラ● 現在発売中の「小さな花〜アマポーラ」。とても好評ですね。

ありがとうございます。今回のアルバムは「ゆったりとした大人の雰囲気」という感じに仕上がっているんです。

● このコンセプトは、アルバム制作の当初からあったんですか?

私の場合は、最初に方向性というものをあえて決めないんですよ。今、自分が表現したいことに忠実に。これって私の軸でもあるんですけれどもね。自分のアンテナに引っかかってきた曲たちから、少しずつ絞り込んでいくと、だんだん核となる曲が見えてくる。今回はタイトル曲である「アマポーラ」が核だったんですけれどね。「アマポーラ」のゆったり感を中心にして、他の曲の流れを作っていって。こうして一つのトーンを持った、ストーリーが出来上がっていったんです。

● ではこのアルバムには、寺井さんの「今」が凝縮されているんですね。

そうですね。たとえば「パーディド」っていう曲は、今までも何度も演奏してきた曲だったのに、初めて収録した曲なんですよ。今回はこの曲に「今」を感じたわけなんです。


<ケニー・バロン氏との出会いと、初めてのレコーディング>
● 最初にケニー・バロンさんとお会いしたのが、’94年と聞いていますが。

はい。来日中のケニーさんが、コンサートの打ち上げで、たまたま私が出演していたジャズクラブに立ち寄ったんです。ケニーさんは、仲間と一緒にお酒を飲んでいて。私はケニーさんのところに「ぜひ、セッションをお願いします」って言いに行ったんです。

● それは緊張しませんでしたか?

ケニーさんのコンサートに私が行くことがあっても、ケニーさんが私のライブに来てくれるなんて、この人生、もう二度とないかもしれないじゃないですか?そう考えて、思い切って言ってみたんです。意外にもケニーさんは「あ、いいよ」って答えてくれて。で、2曲演奏したんです。

● 何を演奏したんですか?

ブルースと「ボディー・アンド・ソウル」でした。ケニーさんに「ブルースをお願いします」って言ったら、当時一緒に出ていたメンバーから「それは止めたほうがいいんじゃないか?」って言われたんです。「本場の人にブルースをやろうっていうなんて、どうかしてるよ」って。でも私は本場の人だからこそ、ブルースをやらなきゃダメだって思って。もちろん、気後れする気持ちもあったんですよ。でも本場のブルースを体中で感じたい!私の中では、その思いのほうが勝っちゃったんですね(笑)。

● そして’95年にケニー・バロン氏のアルバム「シングス・アンシーン」で共演されましたね。

はい。14日間の予定を組んで、ニューヨークへ行きました。空港に着いたら担当者の方に「ケニーさんは作曲のためにバハマに行っており、この先12日間は帰ってきません」って言われてしまったんです(笑)。初めてのニューヨーク、初めてのレコーディング。来る前に日本で思い描いていたイメージが、ガラガラと崩れてしまって(笑)。この先、12日間一体どうしようと、空港でもう呆然ですよ。

● 12日間はどう過ごされたんですか?

せっかく憧れのニューヨークに来たんだから、思い切り楽しまなきゃダメだって、気持ちを切り替えたんです。むしろ、楽しい時間をいただいたくらいに考えなきゃって。昼間はセントラルパークや五番街を歩いて、一度ホテルに帰ってから練習。そして夜はジャズクラブに行く、という生活を12日間続けてみた訳ですよ。そうしたら、それはそれでとっても楽しくなってきて(笑)。そのなかで、だんだんとわかってきたんです。

● どんなことがですか?

今回のように何もわからない極限の白紙の状態に追い込まれたとき、一体何をイメージしていったらいいのか?それがわかったという感じですね。まずは、このチャンスを最大限に楽しむこと。それが、今回私に与えられた課題であるということが、結論として出てきたわけです。

● で、13日目にようやく実際のレコーディングが始まったんですね。

はい、ケニーさんのオリジナル2曲と、ブルース1曲。1年前にケニーさんとブルースをやっておいて、ホント良かったわ(笑)。この3曲を録った後、ケニーさんが私に「イメージだけで何かやってみないか?」って言ってくれたんです。「テンポもキーも、何も決めないんですか?」って聞いたらケニーさんは「決まっているのはただ、僕が弾き始めることだけ。大丈夫。僕が弾き始めたら、思うままに弾いて欲しい」って。で、弾き始めたら私はどんどん音楽の中に引き込まれていって。この時の演奏で、私は初めて「無」の状態にを体験したんですね。「ロゼ・ヌワーレ」という8分間の曲です。16歳の時に初めて手にした、ビル・エバンスの「ワルツ・フォー・デビー」。そのアルバムを聴いて描いた、ピアノトリオと一緒に自由自在にヴァイオリンを弾く私のイメージ。まさにそのイメージが、形になったって感じでした!

● 貴重な体験が詰まったレコーディングでしたね。

そうですね。レコーディングが終ったあと、スタジオのエレベータの中で、ケニーさんのプロデューサーの方と一緒になったんです。「君は日本人なのに、なぜブルースがわかるんだ?」って言われたんです。それがすっごく嬉しかったですね〜。ちょうど1年前のセッションで、ケニーさんとブルースに挑戦して。それがこういう形でレコーディングに結びついて行ったんだなあと思いました。


<「東京JAZZ 2002」での感動のステージ>
● 2002年の「東京JAZZ」で、ハービー・ハンコック氏、マイケル・ブレッカー氏、ウェイン・ショーター氏と共演されていますね。

このときは、最初は1日目だけの出演というお話だったんです。予定通り1日目に出演したんですが、翌朝9時に突然電話が来て。「11時半からのサウンドチェックに来れますか?」と。最後に出演者全員でセッションをするので、そこで出演して欲しいということだったんです。1時半からステージが始まってしまうので、サウンドチェックはその2時間しかできないと。もう慌てて会場に向かって(笑)。でも海外ミュージシャン全員のチェックで終っちゃったんですよ、その貴重な2時間が(笑)。

● では2日目の本番は、チェックなしでの出演だったんですね。

そうなんですよ。「一体どんな曲をやるんですか」って確認したら、「プログラミングのクラブ系の曲です。ビートのあるサウンドが流れるんで、思うままに弾いてください」と。で、実際の演奏が始まって。私はステージの袖で出番を待っているわけですよ。ウェイン・ショーターがステージに上がり、マイケル・ブレッカーが上がり。そうこうしているうちに、ステージのハービーが私のマネをするわけですよ。ヴァイオリンを弾くまねを。「あ、私の番だな」って思ってステージに走り出て、もう思いっきり弾いたわけですよ。ステージでハッと我に返ってハービーの方を見ると、彼は半分立ち上ってパワフルに弾いているわけ。ホントしびれましたね〜(笑)。私はもう無我夢中で、何をどう弾いたのか覚えていない。まさに「無」の状態ですよ。でもこの「無」が一番いい状態。最高なんですよ!

<ジャンルとジャズの魅力について>
● 寺井さんは、クラシックヴァイオリンを最初に経験されて、その後ジャズを演奏されるようになりましたね。

そうですね。でもそれは私にとっては平行移動じゃないんですよ。クラシックが基本にあって、その上にジャズが重なって。そしてラテンへと広がっていって。この先もっともっと広がっていくでしょうし。トリオになって、カルテットになってというように、さらに豊かになっていくイメージなんです。

● 音楽のジャンルにはこだわってはいらっしゃらないのですね。

はい、曲にしてもそうですね。ラテンであろうが、クラシックであろうが、タンゴであろうが。その曲が手元に来た時点で、どのように料理していこうか、どのようにジャズろうかってことが、私にとっては大切なんです。もちろんオリジナルがどのように演奏されているのか、その辺は気になるので、出来る限り調べておきます。そのオリジナルを聴いて、しっかり身体に吸収させておいた上で、私は自分の表現をしていくんですね。


● ジャズの魅力にはまりつつあるプレイヤーの方たちに、何か言葉を贈るとしたら?

まさに「がんばってね!」という一言に尽きます。1つのことを続けていくためには、まずは健康じゃなくてはいけない。練習もいっぱいしなくてはいけない。そういうことを全てひっくるめての「がんばってね!」でしょうか。自分が信じること、聴きたいと感じる音楽を信じて進んでいくのが一番です。それと、普段いろんな刺激を吸収しておくこともすごく大切と思います。私はジャズ以外の音楽を聴いたりもしますし、美しい景色を見たり、絵画を見たりもします。美味しいものを食べて美味しいと思えたり、春に咲きそろう花を見てきれいだなと思えたり。そういった心の余裕を持っていることが大切ですよね。

● お忙しい中、寺井さんはどのようにリフレッシュされているのですか?

私は、毎日30分間のお茶の時間を取ることにしているんです。日本茶やコーヒーなど、気分で好きなものを選んで楽しむ、完全に自分だけの時間。それは何もしない時間であってもいいし、何か考え事をする時間であってもいいんです。たとえコンサートで遅く帰ったとしても、必ずその時間を取ってリラックスしてから休むようにします。

● 3月からは全国ツアーと、ますますお忙しくなりそうですね。

本当にありがたいことですよね。コンサートにいらしていただいた全国の皆様に、最高の演奏をお届けできるようにと思っております。

<お忙しいところ、どうもありがとうございました>


インタビュー:by @jazz 山本聖子 2008年2月14日


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